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JGN-Xインタビューvol.002

【JGN-Xユーザ座談会】『震災の経験を活かし、非常時に役立つICTを考える!』

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2. 震災を体験して/確実に末端とアクセスできる柔軟な情報ネットワーク
ネットワークは点をつなぐ線からメッシュ状になることがが重要!

───JGN2・JGN2plusと「分散災害情報ネットワーク」の研究に取り組んでこられた中、2011年3月11日の震災を体験された状況についてお聞かせください。

柴田:今回の震災は、JGN2plus終了間際のときでした。JGN2plusは問題なく生きていましたが、実のところ、JGN2plus自体が役立ったというところまで行きませんでした。なぜかというと、被災地域とJGN2plusは、そもそもつながっていなかったからです。例えば医療ですが、病院などと直接つながっていれば、もっと患者さんのケアもできたはずです。
普段から、太い幹線部分は県間をまたいで全国規模でつながり、末端へのアクセスはワイヤレスなどでフレキシブルにつながり、それが毛細血管のようメッシュのように面状に広がり一体となるネットワークになっていれば、すぐに役立って良かったと思うのですが・・・。

───APという大きな点でつながる基幹線に加え、メッシュ状にネットワークが広がっていれば、震災の際も直接活用できるということですか?

柴田:そうです。本当に災害が起きたとき、現場では「○○病院にいるが、薬を持っているところと連絡がとれない」「医者が足りないので、だれか応援に入ってくれないか」など、すぐ解決しなければならない情報がTwitterなどでどんどん流れているわけです。幸いにもうちの大学はインターネットがつながっていたので、その情報を見ていましたが、医療機関などに情報がきちんと伝わる環境がないので、それらをケアできない。もちろん、怪我した人や行方不明者などの情報、安否確認なども分からない。だから、災害時こそ、こういう情報がきちんと伝わる環境が必要だと大きく感じました。
下條センター長から「JGN2plusはギリギリの3月31日まで動かすから、頑張って」とわざわざメールをいただき、うれしかったのですが、ネットワークの幹線部分が生きていても、末端へのアクセス部分が弱かったのが・・・。

───多くの方や施設が、確実に情報にアクセスできるという部分ですか?

柴田:そうです。だから今までは「JGN-Xをどんどん使ってください。ただし、足回りは自分たち用意して」ということだったと思いますが、足回りを安く、あるいはフリーのものである程度簡単につなげたりできると、また違っていたのではないかという感じがしました。

───ユーザ座談会プレインタビューでの山口室長のお話にあったように、「つなげるための技術」としてモバイルや無線なども大事ですね。

柴田:はい、重要な要素です。震災直後もそうでしたが、復興のフェーズに入っても、いろいろな問題があるんです。被災者は今仮設住宅から高台に移転することになるのに情報インフラがないとか、沿岸部にある漁業組合のあたりもネットワークがほとんど壊滅状態。医療も同じですし、住んでいる人は高齢者ばかりだし。彼らの生活を見守りながら対応するにはどうしたらよいか、などなど。
震災のあとで今は何もない状態だからこそ、逆説的な言い方になりますが、本当に住民が必要とする、災害に強い情報インフラをはじめからしっかりつくることができるのではないかと思うんです。「国が新たに張るバックボーン」と「地域が準備するアクセス網」とをうまく連携させるとともに、ワイヤレスや携帯などを使って必要な情報に確実にアクセスできる。そんな新しい理想的な・・・。

───あっ、想定される大規模災害に備えるモデルケースになりますね。

柴田:はい、その準備ができますね。そのためにはその現場の地域に行って、いろいろ調べたり、話を聞いたり、問題点を把握しないと、これはなかなか難しいと思っています。
それらを分析し、どういうふうにすればいいかという解決策について、住民や地域の自治体の人たち、あるいはこれから漁業などの産業を自分で始めたい人たちと議論して、その中で情報インフラが現地の人たちにどう使われ、どのように役立っていくのかを見定めながら、展開していかないといけないと考えています。どんなに良いものでも、普段から使えないと意味がありません。

───先生たちの研究概要にも、「平常時は普通のインターネットが利用でき、災害時には動的に再構築して、避難・災害・安否情報を確実に提供」とありますね?

柴田:はい、普段使ってもらえるものでないと、非常時には使えないんです。年に1回の防災訓練で使うものと違い、いつも使っているものなら、困った時でもすぐにパッと手が出て使える。さらに、それらが常時つながっていれば、平時の連絡や見守りもできるし、災害時にはどこが問題なのか状況もすぐにわかります。そのためにも、現場の様子を見ながら、新しいネットワーク構築を進めることが大事ですね。

───震災体験を踏まえ、情報インフラとして必要なこととは・・・。

柴田:もちろん、災害に強く、つながること。そして今お話ししたように、普段にも使えること。壊れたところは回避する。被災していない遠いところともつながる。危険を分散する。冗長化する。ネットワークが優先して取り組んできた「高速・大容量」という軸ではなく、それ以外のいろいろな部分、つまり「頑強性」「柔軟性」という方向への対応が必要ですね。
そして、今回の震災が起きたことにより私たちが得たこと、防災教育や防災技術の移転などを、他の地域や次の災害に備えて反映していかなくてはなりません。だからこそ、われわれも福本先生や静岡県立大学の先生と交流し、研究していることを役立てたいんです。

───JGN-Xを利用して、岩手県立大学・高知工科大学・静岡県立大学で共同して「大規模災害情報ネットワーク」の研究をしていらっしゃることにつながるんですね!

福本:「太平洋側はこれから地震が起きる可能性が高いから、黒潮の流れに乗って一緒に何かやりましょう」っていうことがスタートだったんです。もちろん、3.11の震災のずっと以前のことですが・・・。

柴田:「黒潮ネットを作ろう」というがスタートでしたね!

福本:黒潮ネットは地震多発地帯ではありますが、いろいろな災害もある。だから、地震に限らず、あわせて、大規模災害の研究を始めましょうということにしました。

柴田:そう、台風や大雨などの災害もあるし、大規模災害情報ネットワークなら普段から活用できます。

───災害対策用のディザスターネットワークを研究する、チーム「黒潮ネット」ですか?

柴田:そうです。今まで、ディザスターネットワークというものがあまり注目されていなかったですし、研究費も来てなかったと思うんです。
しかし、災害が発生すると大きな犠牲を伴うので、悲劇を少なくするためにも、準備をしないといけないですよね。



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柴田義孝 教授
震災の体験を踏まえ、ネットワークの
役割やデザインの重要性を語る
柴田義孝 教授
(岩手県立大学 ソフトウェア情報学部)


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「大規模分散災害情報ネットワーク」の機器構成イメージ
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<JGN2plus時>


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