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JGN-Xインタビューvol.002

【JGN-Xユーザ座談会】『震災の経験を活かし、非常時に役立つICTを考える!』

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4. 震災の経験と教訓を活かす(2)/バックアップとその設計の重要性
「南海トラフ巨大地震」対策への関心の高まり

───「分散化」「冗長化」も、非常時を想定したネットワークのポイントだと思いますが、電源も同じですか?

柴田:バックアップを持つということは、ネットワークも電源も常識だと思います。それと、つながるためには同じ場所にあるのでは意味がないです。分散するというデザインが大事です。
電力のバックアップについても、うちの大学では自家発電機を3台持っており、順番に1台を常時動かすようにしています。置いてあるだけで使っていないと、災害時のいざというときに困りますから。
100年に1度の災害と言われても、次に備えてお金をかけ、今回の経験と教訓を活かすことが大事です。特に今回の震災エリアは、まっさらからデザインし直すわけですから、必要なものを設計段階から入れて使えるようにしておかないとね。

───100年に1度の災害と言われても、次がいつ来るのかわからないから不安ですね。ましてや30年以内に「南海トラフ巨大地震」が発生する確率が高まっている高知県では、どんな対策をされているのでしょう。

福本:高知は昔から台風が多いので、災害に慣れすぎて「災害が来たら、そのとき考えればいいや!」という感覚があり、防災に対して県民の意識が高くない感じがしていました。さらにネットワークについても、行政以外の一般の方たちの利用がまだ遅れていましたが、今回の地震で目覚めた感じがあります。
高知県民は低地に住んでいるので、市街地では多くが水没すると言われており、今のインフラは使えない。高知市内だと10メートル、市街地でも2~3メートルの津波が来ると予測されているので、発電機なども地面に置いておいたらダメだということがわかってきました。

───高層マンションとか高台のビルなどに、発電機を置くようにするんですか?

福本:そうですね。でも、重要なことは、電力会社からの供給が再開されるまで、その発電機で作る非常用の電力を何に使うのかということだと思います。明るくなるだけではなく、きちんと情報ネットワークに使うことを考えておかないといけない。今までは、情報ネットワークはずっと動き続けるもので、トラブルの時にどうするかという意識はほとんどなかったと思います。先ほどの携帯電話の話と同じで、ネットにつながるのが、当たり前になっています。だからこそ、情報ネットワークをつなげるためにも、電力の使い方を考えるというか、デザインしておくことが大事です。
それに、災害の時に重要な役割を果たす医療の現場でも、ネットワークを活用しようという動きが出てきていますからね。

───確かに、災害のときには、医療の問題も大きいですね。医療にネットワークを活用するという動きとは・・・。

福本:高知県の医師も、今回の災害支援で岩手県の現場に入っていて、カルテが流されてしまうなどの問題も直接体験しているんです。それで、「非常時に備え、ネットワークを活用してカルテのバックアップが取れないか」という話が出てきているんです。
ただ、かなりお金が掛かりますから、専用線を引いて東京などのサーバにバックアップするのは難しい状況でした。そこで「JGN-Xを使ったらどうでしょうか?」と提案したところ、「それなら、やりたい!」という動きになっています。

───医療の南海トラフ巨大地震対策に、JGN-Xが役立つということですね。これは未来に向けた社会貢献。これから、そのプロジェクトが始まるんですか?

福本:はい、本当に役立っています。今、私たちのところに、高知県医療センターから電子カルテのバックアップの話が既に来ており、一緒にやることが決まっています。高知県も「それなら必要なお金を出しましょう!」という動きになっています。
しかし、電子カルテはレントゲンやMRIなどの重い画像データもあるし、過去の情報も含め、本当にいろいろな情報が入っているので、ネットワークに流すと帯域を非常に大きく使ってしまうんです。そこで、先ほどのフロー制御の話のように、非常時に速やかに電子カルテを活用するには、現場で本当に必要とされるデータだけを戻すことが重要だと考えています。

───ということは、電子カルテの情報に、はじめから重み付けをしておく必要がありますね。

福本:そうです。今回の震災時のことも踏まえ、医師に「電子カルテの情報で、非常時には何が必要か?」と確認したところ、「過去1年ぐらいの間、どんな薬を飲んだかがわかればOK」と言われました。この情報だけを流すようにするなら、非常時の細い線でも、携帯電話にでも流せます。

───薬の名称さえわかれば、災害現場で応急措置をする際、「どんな病気か」「どの薬を投与してはいけないか」ということが一目瞭然ですね。

福本:そうです。しかも、この情報が病院のネットワークにつながっているだけでなく、携帯電話などもからもアクセスできるようにすること。そうすれば、非常時には県外から来る応援の医師が、そして平時には患者さん本人が確認できる。これが重要だと思います。時と場合によって、だれが使う情報なのかということを考えなくてはいけないですね。

───第1回インタビューの折、下條センター長もおっしゃっていましたが、こういう個人の医療情報はセキュアでないといけませんね!

福本:個人情報ですから、絶対に漏れてはいけない。JGN-Xは閉じたネットワークですから、今回のプロジェクトには最適です。
高知県には、高知県情報ハイウェイがあり、効率の医療機関はネットワークでつながっていますので、バックアップや配信を一括で行う仕組みは整っています。

───このプロジェクトは、高知県にとっても重要だと思いますが、世界中どこでも大規模災害が発生する危険性がありますから、各地でこういう情報が見られる仕組みが導入されるようになると、うれしいですね。



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福本昌弘 教授
南海トラフ巨大地震対策と
電子カルテのバックアップについて
説明する 福本昌弘 教授
(高知工科大学 情報学群)


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岩手県立大学と常時つながっている高知工科大学の画面
「MidField System」で
岩手県立大学と常時つながっている
高知工科大学の画面


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