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Network Testbed JGN-X

JGN-Xインタビューvol.005

イメージ当センター R&Dアドバイザー
篠田 陽一氏
<北陸先端科学技術大学院大学 教授>

当センター・R&Dアドバイザーに訊く
『ネットワークと社会の未来像』

-ネットワークの未来に向けて、テストベッドが果たす役割と期待-

第5回JGN-Xインタビューでは、当センターでR&Dアドバイザーをしていただいている北陸先端科学技術大学院大学(JAIST)の篠田陽一教授に、「ネットワークと社会の未来はどうなるのか、どのように進展していくのか」という抽象的になりがちなテーマで、お話を伺うことになりました。
また、ネットワークとセキュリティの専門家として、その未来に向かって行く中で
 ●当センターの研究者に向けてのアドバイス
 ●外部の利用ユーザに向けて、テストベッドの活用メリット
 ●一般の方たちへの警鐘
などについても、具体的に分かりやすく、お聞きしたいと思います。


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1. R&Dアドバイザーとして、研究者に意識してもらいたいことは?
― ビジネスマインド=「実用化」への道筋を考えているかどうかが重要! ―

───篠田先生には、現在、当センターのR&Dアドバイザーをしていただいていますが、NICTとの関わりが長いとお聞きしています。

篠田:NICTとの関わりというか、その前身*からですから、とても古くて思い出せないくらい昔(笑)。郵政省付属機関の電波研究所が通信総合研究所(CRL)に名称変更した頃、25年ぐらい前になります。「これからは電波だけでなく、情報通信をやるぞ」というときに、ネットワーク関係のアドバイザリーとして前NICT理事長の宮原先生と一緒に呼ばれたのが一番最初ですね。その後、CRLにセキュリティセンターができたときにも、アドバイザリーボードで呼ばれました。
そのとき総務省・国内外の業界の方たちを集めた「日本のセキュリティをどうしたらよいか?」という会議があり、その席上で、「国のセキュリティや安全保障に関わることは、海外企業に任せるのではなく、日本として、きちんとCRLで取り組むべきだ」と強く主張したんですが、それがきっかけで、CRLからNICTになった後、当時の情報セキュリティ研究センターができたときに、センター長として招聘されたのだと思います。
もう1つ、セキュリティ以外の関わりもあるんですが・・・。NICTのもう1つの前身である通信・放送機構(TAO)時代から始めた、『StarBED』というプロジェクトです。今年13年目に入りましたが、初めは外部の研究センターの形から始まり、第3期のStarBED3では新世代ネットワークのエミュレーション基盤として、JGN-Xとともに当センターの中核となるテストベッドの1つとしてネットワーク研究開発を支援しています。
そのStarBEDの創始者であり、かつそのプロジェクトファウンダとして研究などに長くかかわってきたこともあり、3年前、NICTにテストベッド研究開発推進センター(当センター)ができたときから、R&Dアドバイザーをさせていただいています。

───なるほど。当センターのR&Dアドバイザーとしてのお仕事ですが、両方のテストベッドを含めた研究開発のアドバイスが中心ですか?

篠田:もちろん、研究にも口を出しますが、僕が一番注力しているのは、ビジネスマインド。定期的なアドバイザリー会議の席上で、研究者がやっているテーマと社会との関わりについて質問したり確認したりすることが多いですね。「実用化」への道筋が見えているかどうか、考えているかどうかが、研究を進めていくときに重要となるからです。R&Dイノベーション(図1-1)をご覧のとおり、その道筋には、研究⇒テストベッドによる実験支援⇒技術開発⇒テストベッドによる技術試験と製品化促進⇒製品開発⇒テストベッドによる事前検証と人材育成⇒展開・運用⇒テストベッドによる知の蓄積と共有など、いくつものフェーズやステップがあり、各部分でお金やヒューマンリソースの投入が必要になるので、そこについても要所で研究者に修正の指示やアドバイスをします。研究者が極端に次に向かって走りすぎるのはあまりよくありませんが、次のステップのこと=R&Dのプロセスイノベーションを考えていく方がいいですね。

───ビジネスマインド、「実用化」への意識を持つことによって、研究も研究者も変わってくるんですね。こういう感覚は、先生のご体験ですか?

篠田:体験というより、最近はJGN-XやStarBED3などテストベッドの営業活動が多くて(笑)。研究機関や企業の研究者などのユーザをたくさん集めてテストベッドを使っていただき、そのリピーター率90%以上となっていることを示して、さらに営業しています。いわば企画営業。単に「使ってください」というのではなく、はじめて利用するユーザにはいろいろアイデアを出して、既にいろいろなツールやノウハウが揃っているネットワークやエミュレーション設備の便利な使い方を提案するんです。そういう研究の中でも、「実用化」への意識は重要ですね。

───篠田先生の営業は提案型、テストベッドのソリューション営業ですね。既にツールやノウハウが整備され、かつ使い方も提案してくださるテストベッドを使わないなんて、もったいないです!

篠田:当センターの2つのテストベッド設備、JGN-XとStarBED3を利用すれば、国等の大規模なプロジェクトが開始される前から関連する研究を短期間で、人やお金を節約しつつ、効率的に進めておき、本格的なプロジェクトに備えることが可能になります。
このような研究のやり方を、我々の専門用語では「Feedforward(フィードフォワード)」と呼んでいます。

───フィードバックの反対語ですか? 先に効率よく研究できる方法を提案してくださるというのは、研究者にとってありがたいアシストですね。

篠田:はい。また、僕だけじゃなく、興味を持った方がはじめてご利用いただくときにはJGN-XやStarBED3の現場のスタッフがしっかり綿密にインタビューし、計画を立てるお手伝いをします。StarBED3を例に取ると、3回、合計5時間ぐらいになります。そして、NICTとの共同研究契約を交わしてネットワーク等の準備ができれば、そこからはサクッと使えます。StarBED3もJGN-Xも、最初に使い始めて便利さを体験してしまうと、その便利さは病みつきになっていただけるようで、リピート率も高くなっています。
テストベッドは、先ほどお話をしたR&Dイノベーション(図1-1)のように、必ず研究/技術開発/製品開発/展開・運用などプロセスのつなぎ目で必要になりますし、当センターではそれらを全てサポートすることができます。
規模感のある実践的な環境で、短い期間で低コストにいろいろなアイデアを試せるということが、研究開発には重要ですからね。また成功の裏にはたくさんの失敗があるものですが、我々のテストベッドなら短期間に低コストで試せるので、失敗のままで終わらせないで済むよう、これについてもサポートできますしね。

───素晴らしい。そのためには「こうすればいいのでは?」みたいなアドバイスもいただけて、結果も出せるテストベッド環境と言えますね!



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*NICTの前身:
NICT(情報通信研究機構)は、2004年4月、通信総合研究所(CRL)と通信・放送機構(TAO)が統合して発足した独立行政法人

NICTの「沿革」ページ
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研究開発のプロセス
【図1-1】
研究開発のプロセス
「R&Dイノベーション」


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JGN-X「ネットワーク構成」ページ
当センターのテストベッド JGN-X
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StarBED3「特長と利点」ページ
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  • 国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)
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