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Network Testbed JGN-X

JGN-Xインタビューvol.007

JGN-X座談会】地域協議会リーダー&メンバーに聞く『各地域での活動状況とJGN-Xへの期待』

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3. JGN-Xの役割は、ネットワークから遊べる空間のテストベッドへ!
― より多くの方に利用してもらうには、「わくわく・ドキドキ」させる仕掛けが必要 ―

───「利用側からすると使いやすければよい」というお話が出ましたが、実際に研究にご利用いただいている妻鳥先生や渡辺先生からみて、JGN-Xはいかがですか?

妻鳥:JGNプロジェクトは、研究員としてJGN2時代から利用しています。現在は、テレビ会議システムを使って授業を同時に送るというeラーニングの研究をしていますが、2008年から10年計画で四国の8大学間での連携、2013年からは4つの国立大学間連携プロジェクトも始まりました。これらについては今、JGN-XではなくSINETでつながっています。
1つの大学の講義を他大学の学生が受講するための配布方法、著作権問題、シングルサインオンなどのID/パスワード統括管理など、解決すべき課題はありますが、これらを解決しつつ、各大学をつないで実際にeラーニングを動かしていくには、いつでも安定して利用できることが大事です。授業が途切れたり画像が汚ければ、eラーニングを推進できない。ですから、高速・広帯域のJGN-Xをうまく使っていけたらと考えているところです。

───安定したネットワークは、eラーニングでは不可欠ですね。さらに障害時でもSDNで回避できればより安心ですね。

妻鳥:はい、そう思います。

渡辺:僕の場合は佐賀大学にいた頃、JGN2時代に利用を始めました。広島大学と一緒にやっていた工業高校の遠隔操作ロボットのプロジェクトに使っていましたが、あの頃は「広域」「安定」「なんでもできて遊べる」ネットワークはJGN2ぐらいしかなく、IPv6を流したり、非常に重宝しました。また、九州や広島などいろいろなところと広域プロジェクトをやるための基盤は、JGN2が一番適していたと言えると思います。ただ2011年のJGN-Xスタート時、残念ながら佐賀にノードがなくなり、「アクセスにはSINETを利用してください」と言われましたが、佐賀はSINETのノードもなかったので、JGN-Xから一旦離れてしまっています。

───JGN2では安定に加え、広域・自由に遊べるというキーワードが出てきました。2012年から渡辺先生は広島大学にご異動になられましたが、今のJGN-Xはいかがですか?

渡辺:異動のバタバタでJGN-Xをあまり使っていませんが、広島大学に来てびっくりしたのは、40ギガも使えること。100メガで苦労していたのに、「広島大学では40ギガも使えるのか」と感心するとともに、相原先生が頑張ってこられた成果を実感しました。

相原:佐賀だけの話でなく、各地域に行ってみると状況の違いがよく分かります。多くの方に使っていただくには、それを知ることも大事ですね。

───各地域での状況の違いもご意見に含まれるかもしれませんが、最後に、これからのJGN-Xに対するご意見・ご要望をお聞かせください。

広岡:先ほどの相原先生のお話にもあったように、JGN-Xの役割として今重要なのはネットワークではなく、テストベッドだと思います。ビッグデータや3Dプリンタなど、新しいソリューションを手軽に開発・研究するための空間、まさにテストベッドを提供するというプロジェクトになってくれるといいと考えています。そうなれば、今日ずっと話題になっていたJNG2時代と同じムーブメントが新しく起きるんじゃないでしょうか。
渡辺先生がおっしゃっていた、JGN2しかない時代は太い回線が必要だったかもしれないですが、今や公衆回線で100メガの速度が普通に出る時代。だから、次のJGNプロジェクトのステージにおいては、テスト空間の提供、そういうものを期待したいです。

───次のJGNプロジェクトは、「通信網ではなくてテストベッドであるべき」ということですか?

広岡:必ずしも通信網である必要はないと思います。私たちが普段利用しているネットワークは、十数年前はダイヤルアップで遅かったけれど、今やどこにいっても光回線で、最低限のスピードは確保できますから。

渡辺:でも、まだ通信網が必要な人達はいますよ。今の広岡さんの話は、利用の幅が広くなって、帯域をオンデマンドする人もいれば、広がりを求める人もいるということだと思います。

広岡:たぶん妻鳥先生のeラーニングの研究のように、大学や一定の教育機関には通信網のニーズはあると思う。しかし利用者のすそ野を広げるには、「ネットワークを使う」というスキームは、もう限界ではないでしょうか。
いわゆるネットワーク維持に予算をかけるよりテストベッド空間の構築に注力していけば、先ほどお話ししたようなビッグデータのように、ニーズはもっとたくさんあるのではないでしょうか。

───しかも、そのJGNプロジェクトのテストベッドにアクセスするには、いろいろなつなぎ方ができるということですが、JGN側が広帯域である必要は・・・。

広岡:別に、広帯域にこだわる必要はないと思いますね。今はまだ、いろいろ試すためのテストベッド空間は自分で作るところから始めなければいけない、研究者は大変なんです。でもそのテストベッド空間がJGNプロジェクト側にあれば楽ですから、利用者数が格段に違ってくる。ここが今、求められているものだと考えています。

相原:私は、JGN-Xのような研究開発プロジェクトに多くの人が参加するためには、ニーズより、「魅力を感じる」「わくわくする」何かあることが一番大事だと思うんです。もちろんニーズがなければ続きません。しかし、そのニーズの有無を考えるための絶対条件が、わくわく・ドキドキ。研究だけでなく、ビジネスであっても同じです。ビジネスへの活用を考えるときでも、なんかそれ面白そう・行けるんじゃないかというような要素がないと広がらないし、継続しないと思うんです。
だから、次のJGNプロジェクトには、わくわく・ドキドキの要素を必ず取り入れてほしいと考えています。

───次のJGNプロジェクトは、もっと「わくわく・ドキドキするもの」であってほしいということですね。

相原:「そこに行くと面白いんじゃない」という雰囲気を作りだすことが、絶対に必要だと思います。

福本:それに加えて、相原先生が冗談半分で「次世代の人達に頑張ってほしい」と言っていましたが・・・。妻鳥先生のような一世代若い研究者、そしてさらに若い学生たちに、もっとわくわくしてほしいです。
でも今は、JGNで研究をやりたいという人たちが少なく、集まるメンバーがあいかわらずJGN2時代を知る我々世代のままなのは問題だと思います。「もう年寄りは黙って、新しい世代の若者に任せろ」と手を挙げる存在が出てきてほしいですね。

───次のキーワードは「若い世代」。彼らが「わくわく・ドキドキするもの」ってなんでしょう?

福本:今の若い人たちに、JGNではこんなすごいことができるということを言葉で説明するだけでは伝わらない。実際に見せてあげる必要があると思いますが、僕らの世代がうまく見せることができていない気がします。

───福本先生たちの世代がJGNやJGN2をすごいと感じたのは、誰かに見せてもらったというより、そこに「わくわく・ドキドキする」欲しいものがあったからでは・・・。

福本:そういう意味では、やはり「いたずらし放題ができるテストベッド」があったことですね。JGN2時代は、何でもアリという感じでした。
だから、わくわく・ドキドキの解は、そこへ行けば何か無茶苦茶なことができるということもその一つですね。

広岡:テストベッドは「遊び場」と言ってもいいかもしれませんね。

福本:JGN-Xももちろん遊び場です。だた「新世代通信網JGN-X」という入口がネックになり、何でもアリという感じではなかったと思います。
しかし「新世代通信網だからこそ、今までと違い、好き勝手に遊んでも安心」という域にJGN-Xが達してくれれば、何でも試せるようになりますね。

───「JGN-Xは安心して遊べる場所」ですね。

福本:そうです。今まではネットワーク全体が止まると大変でしたが、新世代なら何かがあってもすぐに復旧できるので、止まらないネットワークになるわけです。少々無茶をしても、怒られない(笑)。

広岡:「若い世代がわくわく・ドキドキ」「遊び場」ということに対する答えになるかもしれませんが・・・。JGN2時代には研究者向け・学生向けにいろいろなコンテストをやっていましたよね。これこそ、何か無茶苦茶をしていいということを明らかにして、トライできる入口になっていたと思います。
「すごいことが出来るJGN-X」というアプローチではなく、コンテストとして「自由に遊んでみない?あとはフィードバックやフォローアップするよ」というアプローチなら、JGN-Xを気楽に体験できるのではないでしょうか。

───コンテストなら遊びに加えて競争の要素もあり、頑張った結果、面白かった・楽しかったという実感につながるかも・・・。

広岡:今のロボットコンテストはクラウドからデータを引っ張ってきて、単純にロボットを遠隔的に制御していますが、新世代ネットワークならもっと多くのデータを多重化して何か新しいことでロボットが動くというようなシナリオにアレンジできると思うんです。
そして日本だけに留まらず、「チャレンジ!JGN-X○○○」なんていう入口を作って海外も含めたプロジェクトにできたら面白い。もちろん、各地域にも入口を作り、地域企業がチャレンジできる仕組みもあればいいですね。

───下條センター長も「JGN-Xは、新世代の遊び道具がいろいろある砂場」(第1回インタビュー)と話していますが、コンテストは砂場での遊びをもっとわくわく・ドキドキさせるための入口ということですか。

広岡:そうです。砂場に行くためには公園デビューという壁がありますから、その壁を取り払う仕組みを作らないといけないですからね。

渡辺:今の広岡さんの話に加え、金銭的なアシストも必要だと思っています。先ほどお話した工業高校の遠隔操作ロボット・プロジェクトでJGN2を使った理由として広域ネットワークということを挙げましたが、もう1つ費用面での協力を頂けたということも理由でした。若い世代を取り込むということは大事ですが、学校を相手にした場合、予算がないことがネックになります。
わくわく・ドキドキのために、何か上手に支援できたらいいと考えています。

───例えば、コンテストに応募したときに、優勝したら何か支援するみないなことですか?

渡辺:そういうスキームもあるといいかもしれませんね。もう1つのスキームとして・・・。最近、中学校「技術」の学習領域*1に情報が入り、その中にコンピュータの仕組みやネットワークも含まれています。しかし、それを教えることができる中学校の教員も養成側の教育学部の先生も圧倒的に不足している。若い世代の中学生を教える教員たちが、情報とかネットワークを楽しく元気に遊べるようなスキームがあれば、若い世代をわくわく・ドキドキに導くことにつながるのではないでしょうか。
中学校「技術」の教科書には、日本のものづくりはこうでなきゃというエッセンスが一杯です。そこに情報やネットワークが入ったわけですから、若い世代へのアピールのため、これを上手に活かすスキームもほしいです。

妻鳥:先ほどからずっと、わくわく・ドキドキというキーワードが出ていますが、20年ぐらい前の若者は、スマホで動画がサクサク見らえるなんていう状況がなかったからこそ、「こうなったらすごいよね!こういうものがほしいよね」と、わくわく・ドキドキ頑張れたと思います。でも、今の若者たちには当たり前。いろいろ満たされすぎて、次のわくわく・ドキドキするものを見つけにくくなっているように思います。
そこで、福本先生に一世代若いと言われた私個人として、わくわく・ドキドキにつながる欲しいものと考えてみると・・・。授業の様子を4K*2で撮影してネットワーク越しに遠隔地に送り、実物をそのままのサイズで見られる「eラーニング」の研究かもしれません。というのも、授業を撮っただけでは解像度が低くてコンテンツとして使えず、そこにコストを割いているというのが現状なんです。4Kなら編集もいらず、授業をそのまま共有できるのではないかと考えています。こんなことをどんどん試せたら、いいですね。

相原:他で聞いたことの受け売りですが、次の8K*3になると視力0.8程度と同じぐらいにはっきり見えるらしいですよ。

───なるほど、自分の興味があることをいろいろ試せるテストベッドならば、「わくわく・ドキドキ」につながるんですね。
長時間にわたり率直なご意見をいただき、本当にありがとうございました。

●座談会の最後に/当センターテストベッド構築企画室長 住友貴広
JGN-Xも3年目となり、次のプロジェクトを考える時期ですので、本座談会でのご意見にいろいろ刺激を受けました。
NICTでもALL体制でセンサーデータや気象情報などのビッグデータを使えるテストベッド空間を作ろうという動きもあります。当センターも新世代ネットワーク研究から始めましたが、それを超えて行く時期にきていると考えております。
今、JGN-XはSDN的な新世代ネットワーク技術を利活用できる環境が整ってきており、本日ご要望いただいたように研究開発のフェーズも利活用に戻ってきています。またご存じのように、 研究機関だけでなく、民間企業や、自治体、小中学校などいろいろな方に使っていただけます。利活用の研究もできるテストベッドとして、遊び場的に使っていただけることをアピールしつつ、本座談会のご意見にもありましたわくわく・ドキドキのシナリオも考えながら、利活用を意識した活動を進めていきたいと思います。
JGN利用者であり、各地域でICT推進活動をしている皆様に、本座談会に参加いただき、多くのご意見をいただきましたこと感謝しております。
ありがとうございました。

【JGN-X及び各地域の協議会に関するお問い合わせ先】
  jgncenter@jgn-x.jp


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高知工科大学・妻鳥准教授
高知工科大学・妻鳥貴彦准教授



広島大学・渡辺教授
広島大学・渡辺健次教授



住友室長、相原先生
住友室長、相原先生
(左から)



福本先生、広岡さん、渡辺先生
福本先生、広岡さん、渡辺先生
(左から)
























































































































































*1:中学校「技術」の学習領域
計測と制御に関わる機械と電気、木材加工、植物の栽培の3領域に加え、4つ目として情報が加わった。











*2:4Kとは
横4000×縦2000ピクセル前後の高解像度の映像・表示技術。
「K」は1000を意味する単位の接頭辞「キロ」(Kilo)の頭文字。フルHD(1920×1080)の約4倍の画素数にあたる。4Kの高精細・高品質の画像は、リアルで美しい。


*3:8Kとは
横8000×縦4000ピクセル前後の高解像度の映像・表示技術。

  • 国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)
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    総合テストベッド研究開発推進センター テストベッド連携企画室

    〒100-0004 東京都千代田区大手町1-8-1 KDDI大手町ビル21F
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