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JGN-Xインタビューvol.008

NICT委託付共同研究の紹介(その1)】『効率的な次世代テストベッド運用に向けて』

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2. 国内テストベッド連携だけでなく、海外のテストベッド連携も視野に入れた研究
― 2014年度の目標は、JGN-X仮想環境上のモックアップでNICTのテストベッド間の運用連携を実現すること ―

───このNICT委託付共同研究をいつから始めたのですか?

櫨山:JGN-Xのスタートと同時に、5年計画で始めました。1年目のはじめはNICTの2つのテストベッド、JGN-XとStarBEDの分析。続いて当時の学生さんに米国のUSC-ISI* へ行ってもらい、StarBEDと似ているDeter Labというテストベッドとシステム連携するにはどういうシステムを組めばよいか研究してもらいました。

───研究の1年目から、海外のテストベッドとの連携を視野に入れた研究をしてらしたんですね。

櫨山:はい。しかし、大変さを痛感しました。それぞれのテストベッドのデザイン・パターン、利用者フロー・運用フロー・構成要素・管理主体などの整理が必要ですね。テストベッドごとに、かなり違いますから。
特に、同時に何人のユーザまでテストベッドを使えるのかという「利用フロー」と、同時利用のための資源管理の排他制御をどうやるかという「運用フロー」ですね。マンパワーだけでやるか・システムサポートを入れるのか・システムだけででやるのかという管理モデルがあります。米国のDeter Labは完全にシステムだけの管理ですから、単純な早いもの勝ち。各利用プライオリティの重みづけをシステムやアルゴリズムに落とし込んで資源調停するのは無理。マンパワーの方がずっと早いです。

───次世代テストベッドの運用は、資源管理を含め、どこまでシステム化する予定でお考えですか?

櫨山:細やかな資源調停は最終的にマンパワーに任せながら、資源貸出状況を人が参照できるデータベース・サポートと、ルールが決まっているものについての設定自動化、運用主体が自由に使えるフレームワークを整えようとしています。また、テストベッド連携ですから、お互いのテストベッドの資源貸出状況などもある程度 “見える化” する必要がありますが、それぞれの運用ポリシーに関わる難しい部分ですので、実際の管理者に聞きながらやっていかないといけません。
そのために、3年目は連携するためのモックアップシステムと、JGN-X想定とStarBED想定のデータベース・システムを仮想化環境上に作りましたので、それぞれ管理者間で実際に情報のやりとりを試せるようになっています。

───テストベッド連携を試せるモックアップシステムは2013年度までの成果ですから、2014年度はこれを使っていただくフェーズですね。

櫨山:はい。先ほどもお話ししたように、サブシステムとしての慣らし運転ですから、課題としては「きちんと運用できるか」「本システムとどう切り替えていくのか」「運用者から問題点をフィードハックしてもらえるか」ということです。この実証実験を通して、見直しを行い、バージョンアップしていくことを目指しています。
そして、2016年以降の次期テストベッドでの運用に向けて、この2年間は必要なサブモジュールを洗い出し、基本設計をまとめていく予定です。

───この3年間は大変だったと思いますが、テストベッド連携が見えてきた感じですね。

櫨山:はい。ただ自分たちの手から離れて、実際の管理者にお渡しして運用していただくわけですから、不安もありますが、たくさんフィードバックをいただきたいと考えています。
また3年と言いましたが、こういうものが必要だという構想はJGN2plus時代から始まっており、その結果がNICT委託付共同研究になったんです。RISEやPIAX、仮想化などのサービスが増えて、ネットワーク資源だけでなくサーバ資源の管理も加わり、オペレーションが大変複雑化してきたからですね。
そこをそれらを分かりやすく分析・整理してデータベース化し、「どの物理資源の上に仮想マシンがあり、それをどのユーザに貸出し、さらにどのプロジェクトと連携あるいは紐づいているか」などの情報が、クリック1つで閲覧できる状態にすることが最低限必要だと考えています。
そのためにも、全てを分析し通すことが大事なんですね。今のサービス群をもとに分析し、そのサービスを設定するたびに細かくモニタリングするものをモジュール化する。次に新しいサービスが入ったらそれをサブシステムとして使いながら拡張していく。つまりスパイラルを描きながら、いろいろなサービスなどに対応できるよう、バージョンアップしていくことになると思います。

───最後に、今後の目標をお聞かせください。

櫨山:2014年度の当面の目標は、NICT内の2つのテストベッド間の連携が簡単にできるようにすること。そこでブラッシュアップしながら、最終年度の2015年度の終わりまでには、海外のテストベッドとの連携も1つは成功させたいです。
海外テストベッドとの連携は、いろいろなタイプのテストベッドがあるという大変さもありますが、利用申請や資源調整をする際の言語の壁もあるので、英語をベースにしてメニュー内容の自動翻訳をかけるようなマルチリンガル化を考えています(参照【図2-1】)。やはり使い慣れた母国語でないと使いにくいですから。相互翻訳できるシステムがないと、海外連携はできません。
大変ですが、理想形のビジョンですね。

───櫨山先生、ありがとうございました。

 

●インタビューを終えて
重要で大きなテーマの研究をなさっている櫨山先生が、「面白いですが、大変です」とおっしゃりながら、質問に的確かつさわやかに答えてくださいましたので、大変分かりやすく、楽しいインタビューでした。
目標をお聞きした後に、これからの研究に関する意気込みをお聞きしましたところ、なんと「みんな楽しく平和に」とのこと。インタビューに参加した事務局・スタッフ一同なごみましたが、実はその言葉の背景にはあるのは、JGN-Xの運用スタッフ・事務局の大変さを見ていて、この研究によりシステムでサポートできるところが増えれば、「本当に必要なところで、もっと効率よく楽しく能力を発揮してもらえるはず」という意味があることがわかりました。
ぜひ、今後の研究の進捗を見守らせていただきたいと思いました。
ありがとうございました。

【JGN-X及びこれらの技術に関するお問い合わせ先】
  jgncenter@jgn-x.jp


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*USC-ISIとは:
 (USC Information Science Institute )
南カリフォルニア大学の情報工学系研究機関の略称



櫨山先生

グランフロント大阪のビル群を背景にしてインタビュー
グランフロント大阪のビル群
を背景にしてインタビュー





【図2-1】
テストベッドごとに独自に開発された
Testbed API連携させるための
共通言語イメージ

<第16回テストベッドネットワーク
推進WG会合資料より>


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