Vol.22 岐阜県のJGN活用
バックナンバー

 

石田亨 助教授

▲岐阜県立情報科学芸術大学院大学 石田亨 助教授

 

 

 

 

 

 

岐阜県立情報科学芸術大学院大学 石田亨助教授
(兼 岐阜県情報産業室 管理監)
(兼 財団法人ソフトピアジャパン 研究開発グループ 総括マネージャ)
岐阜県基盤整備部企画管理課基盤情報企画室 課長補佐 岡田康男氏、主任 郷嘉文氏
(財)ソフトピアジャパン 研究開発グループ グループリーダー 国枝信男氏
インタビュー実施:2003年 7月4日(於:岐阜県庁)

◆はじめに

本州のほぼ中央に位置する岐阜県は、斬新な取り組みを行う自治体としても有名です。ITへの取り組みも活発で、JGN利活用においても熱心に新しい方法に挑戦し続けてこられました。
 今回は、岐阜県立情報科学芸術大学院大学 石田亨教授、岐阜県基盤整備部企画管理課基盤情報企画室 岡田康男課長補佐、郷嘉文主任、(財)ソフトピアジャパン 国枝信男氏の4氏にインタビューを行いました。

岐阜県はJGNを利用した研究が活発に行われているという印象があります。
(石田)そうですね。最近では総務省の事業で畜産関係のトレーサビリティをIPv6の技術を使って研究しています。これは、山梨県と飛騨高山の畜産研究所を結んだ実験です。
 他には、YRP(横須賀リサーチパーク)、KRP(京都リサーチパーク)、(財)ソフトピアジャパン(以下、「ソフトピア」)を結んで双方向の映像配信実験を行っています。これは、産業振興を狙った地域間コラボレーションの実験です。
 また、JGNのイベント利用関係では、ジンバブエから配信した日食中継を広島大学の相原先生が開発した映像配信システムの実験の一環として実施しました。
何か活発な活動を行うきっかけがあったのでしょうか?

(石田)最初の実験は、2000年3月の「情報戦略セミナー」のJGNによる中継でした。岐阜県に堺屋太一氏を招いて、講演の内容を全国15か所に中継するというものでした。その当時、ソフトピアは技術的に素人集団でしたが、JGN-NOCにもずいぶん協力していただいて、ATMマルチキャストをJGN上で初めて実施するなど非常に良い研究になりました。この時、北陸先端科学技術大学院大学 丹先生の開発されたリンクユニットを活用しましたが、この利用方法が、JGNとしてのイベント利用のひとつの雛形になったのではないかと思います。

ネットワークに関して素人集団だったソフトピアが専門家集団にどのように変わっていったのでしょうか?

石田)私たちはJGNをきっかけにして、まずネットワークに関する勉強会を行うところからスタートしました。ソフトピアの職員だけでは人数が限られていますから、岐阜県の企業の若手の方にも声をかけて一緒にやりました。こうした人的なネットワークは、企業間連携などの形に発展した場合もあります。JGNを通じて知り合った他の地域の研究者の方々には本当にお世話になりました。特に、地域間相互接続実験プロジェクト(JGN-G11012)に参加したことで、様々な実験をご一緒させていただく機会が増えました。ソフトピアの研究員にとっては、実際にイベントなどを通じてネットワークの運用技術を学んだことが大きかったと考えています。今では相当高度な研究を自律的に進めることができるようになってきています。

(国枝)その他にも、岐阜県ではIT企業を誘致するために、ビジネスサポートネットワークという仕組みがあり、光ファイバ回線の敷設されたオフィスを整備しています。こうした環境もあり、ITに関心の高い人を比較的引き付けられたのだと思います。そのような効果が相まって、ソフトピアのみならず岐阜県の技術レベルを引き上げたものと思います。

岐阜県内には、情報スーパーハイウェイが整備されていますね。

(岡田)はい。1998年頃から研究会レベルで検討が始まり、2001年から順次供用を開始しています。技術的にはATMとギガビットイーサから構成されており、JGNとも接続されているので、情報スーパーハイウェイのアクセスポイントに接続することによって、JGNを利用した研究を行うことが可能となっています。

岐阜県と三重県とが協働で支援しているGCIXについて教えてください。

(石田)2001年ごろから中部地区がまとまってIXを整備していこうという話が出てきました。岐阜県、地元の情報関連企業、大手キャリア、三重県のサイバーウェーブジャパンが出資し、2002年4月に会社として発足しました。三重県には、国際光海底ケーブルの陸揚げ拠点があり、これをIXと連携させていくと面白いと考えています。さらに、今年から「地域連携ネットワーク協議会」を立ち上げて、三重県、福井県、京都府などと連携する展開を話し合っているところです。岐阜県を含みこれらの府県には情報スーパーハイウェイが整備されており、どこも地域IXには興味を持っています。また、次世代IX研究会が研究している技術を使えば、地域IXをうまく連携できるのではないかとも考え、こちらの研究会にも参加しています。

(郷)電力系の事業者が連携してひとつの会社を立ち上げたように、各府県の地域インフラが連携すると面白いモデルになると考えています。

 
 
岐阜県には、昨年度末で閉所しましたが、6面没入型バーチャルリアリティで有名なマルチメディア・バーチャル・
     ラボ(MVL)がありましたね。
(国枝)はい。岐阜県には、MVLの他にもバーチャルリアリティ(VR)に特化した研究センター(VRテクノセンター)があります。VRテクノセンター内には早稲田大学のWABOT-HOUSE研究所があり、ロボット技術の研究を活発に行っています。こちらでは、JGNv6を利用して東京の早稲田本学とWABOT-HOUSEを結び、ロボット制御の研究を行っています。一方、この研究はIPv6ネットワークのリアルタイム性の検証にもなるので、ネットワークの研究とも捉えることができます。
また、岐阜県は、IT推進関連の「スイートバレー・情場形成特区」に選定されたと伺っています。
(国枝)全国の中で岐阜県を選んでいただいたのは、やはり今までの活動を総合的に評価していただいたものだと考えています。具体的には、県内3か所で無線LANを使った地域イントラの構築を行う予定です。今後はインフラ構築だけでなく、アプリケーションの開発にも取り組もうと考えています。
ところで、石田先生は、情報科学芸術大学院大学(以下、「IAMAS」)でも教鞭をとっていらっしゃいますが、
     こちらの大学はアートとITの接点の研究があるのでしょうか。

(石田)そうですね。アート系の人は、同じネットワークに取り組む場合にも、技術系の人とは違う視点で考えます。例えば、私が単純に映像コンテンツのフォーマット変換をしてインターネットに配信しようと考え、コンテンツの利用について申し入れたのですが、アート系の人はコンテンツにこだわりがあるため安易に再利用するのではなく、メディアに相応しいコンテンツに作り変えるべきだとの指摘を受けました。発想が技術系の人とは違うのだと実感しました。コンテンツという部分では、アート系の人々と協力して進めることが非常に重要であると考えています。

JGNへの評価として、良かった点や課題についてどうお考えでしょうか?
(国枝)やはりなんと言っても、人材育成の効果が大きかったと考えています。ソフトピア内の人材もそうですし、産官学の連携と活用を通じた人材の育成ができた点が良かったと考えます。今後ともぜひネットワークを利用できる環境が欲しいと思っていますが、その際には、単なるサービスネットワークというのでなく、より深い研究ができるように低レイヤでの開放があると良いと思っています。
今後のネットワークの活用の方向性について教えてください。
(石田)IAMASのような先端技術と芸術の融合したメディアアートを推進している機関は日本では他になく、世界にも少ないので、先進的な事例としてグローバルに活動したいと考えています。

(郷)岐阜情報スーパーハイウェイでは県下の全高校が繋がっていますので、今後、高校間でのテレビ会議や海外の姉妹校と遠隔講義を行う可能性もあります。さらに、これらに限らず、様々な取り組みを進めて行きたいと考えています。

 
  ◆おわりに

 JGNをきっかけとして、産官学の連携により、ネットワークに携わる人材を育成し、県内だけでなく他府県とも実施している活発な活動の様子は、地域における情報化推進の取り組みの成功例の1つとして他の自治体にも少なからず影響を与えるものと実感しました。

文責:JGNウェブ編集部

  関連リンク集

岐阜県
ソフトピアジャパン
GCIX
次世代IX研究会
VRテクノセンター
スイートバレー(Sweet Valley)

 
JGNウェブ編集部では、インタビューに協力していただけるJGNプロジェクト研究者を募集しています。 自薦、他薦等、JGNウェブ編集部まで、氏名、メールアドレス、電話番号、JGNプロジェクト番号を添えてお知らせくださいますようお願いいたします。
 

お問い合せホームページへのお問い合せ Copyright (C) 2004 TAO All Rights Reserved.